韓国の大統領制は1948年の大韓民国政府樹立以来、数々のリーダーが国政を担ってきました。しかし、その多くが任期終了後に悲劇的な末路をたどることが特徴的です。本記事では、韓国歴代大統領の末路を一覧にし、その背景を考察します。

1. 初代大統領:李承晩(イ・スンマン)

在任期間:1948年 – 1960年
末路:ハワイ亡命・国外で死去

李承晩は韓国初の大統領として独裁的な政治を行いましたが、1960年の四月革命によって退陣を余儀なくされました。その後、米国ハワイへ亡命し、1965年に亡命先で亡くなりました。

2. 第4〜5代大統領:尹潽善(ユン・ボソン)

在任期間:1960年 – 1962年
末路:軍事クーデターで失脚

民主党政権下で大統領に就任しましたが、1961年の朴正熙(パク・チョンヒ)による軍事クーデター(5・16軍事政変)により権力を失い、政界を引退しました。

3. 第5〜9代大統領:朴正熙(パク・チョンヒ)

在任期間:1963年 – 1979年
末路:側近に暗殺される

軍事クーデターで政権を掌握し、経済成長を促しましたが、独裁体制を強めました。1979年に中央情報部(KCIA)の長官であった金載圭(キム・ジェギュ)によって暗殺されました。

4. 第10代大統領:崔圭夏(チェ・ギュハ)

在任期間:1979年 – 1980年
末路:軍事クーデターで失脚

朴正熙の死後、大統領に就任しましたが、軍部の実権を握った全斗煥(チョン・ドゥファン)によるクーデター(12・12軍事反乱)により短期間で退陣しました。

5. 第11〜12代大統領:全斗煥(チョン・ドゥファン)

在任期間:1980年 – 1988年
末路:死刑判決(後に恩赦)

光州事件を武力鎮圧し、軍事政権を築きましたが、退任後の1996年に内乱罪などで死刑判決を受けました。その後、減刑され、特赦で釈放されました。

6. 第13代大統領:盧泰愚(ノ・テウ)

在任期間:1988年 – 1993年
末路:収監(後に恩赦)

全斗煥の後継者として当選しましたが、退任後に秘密資金問題が発覚し、懲役刑を受けました。その後、特赦で釈放されました。

7. 第14代大統領:金泳三(キム・ヨンサム)

在任期間:1993年 – 1998年
末路:経済危機による失脚

金融危機(IMF危機)を招いた責任を問われ、名誉が失墜しましたが、逮捕は免れました。その後、政界を引退し、2015年に死去。

8. 第15代大統領:金大中(キム・デジュン)

在任期間:1998年 – 2003年
末路:側近の不正問題で晩年を過ごす

ノーベル平和賞を受賞し、南北対話を推進しましたが、息子の不正疑惑などで晩年は批判を浴びました。2009年に死去。

9. 第16代大統領:盧武鉉(ノ・ムヒョン)

在任期間:2003年 – 2008年
末路:自殺

清廉潔白なイメージがありましたが、退任後に親族の不正疑惑が浮上。2009年に故郷で投身自殺しました。

10. 第17代大統領:李明博(イ・ミョンバク)

在任期間:2008年 – 2013年
末路:収監

企業経営者出身で経済政策を推進しましたが、任期終了後に収賄・横領の罪で起訴され、懲役刑を受けました。その後、健康問題を理由に釈放されました。

11. 第18代大統領:朴槿恵(パク・クネ)

在任期間:2013年 – 2017年
末路:弾劾・収監

韓国初の女性大統領として就任しましたが、「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」事件によって大規模な抗議デモが発生し、2017年に弾劾・罷免されました。その後、収賄などの罪で有罪判決を受けましたが、2021年に恩赦で釈放されました。

12. 第19代大統領:文在寅(ムン・ジェイン)

在任期間:2017年 – 2022年
末路:静かに引退(ただし側近に捜査の手)

自身は大きなスキャンダルを免れましたが、側近に対する捜査が相次いでいます。現在は政界を離れ、故郷で静かに暮らしています。

関連記事
ムンジェインの末路!権力と悲劇の狭間で

13. 第20代大統領:尹錫悦(ユン・ソクヨル)

在任期間:2022年 – (在任中)
末路:不明(今後の動向に注目)

現職の大統領であり、まだその末路は決まっていません。ただし、支持率の変動や政局の行方によっては、今後の動向が注目されます。

まとめ

韓国の歴代大統領の多くは、任期終了後に逮捕、亡命、暗殺、自殺といった厳しい末路を迎えています。これは韓国の政治構造や、政権交代時の報復的な司法追及が影響していると考えられます。近年では、文在寅のように比較的穏やかに引退するケースも見られますが、依然として大統領経験者が厳しい状況に追い込まれる傾向は続いています。今後の韓国政治がどのように変化していくのか、引き続き注目が必要です。